手鍋焙煎の豆が「まずい」とき、まず分けたい3つの原因
手鍋で焼いた豆を淹れたら「なんだかおいしくない…」。そんなときは焼き方を全部変える前に、原因を3つに分けてみるのがおすすめです。
- 焼き方の問題(排煙・予熱・量・火力・冷却)
- 焙煎直後で、まだ味が出にくい
- 保存しているあいだに劣化した
2なら待てば変わることがあり、3なら焙煎を直しても変わりません。見分ける手がかりは「その味がいつからか」です。
症状と「いつから」で逆引きする早見表
| 感じた味 | いつから | 考えられる原因の例 | 待てば変わる? | 見直す場所 |
|---|---|---|---|---|
| 燻し臭い・煙っぽい | 焼いた直後から | 排煙不足 | 期待しにくい | 蓋の開け閉め・換気 |
| 苦い・焦げっぽい | 焼いた直後から | 火力が強い/冷却が遅く余熱で進むことがある | 期待しにくい | 火力・冷却 |
| 酸っぱい・青っぽい | 焼いた直後からずっと | 生焼け | 期待しにくい | 予熱・量・温度ログ |
| 薄い・味が弱い | 焼いて数日以内 | 焙煎直後 | 変わる見込みあり | 1週間ほど置いて飲み直す |
| 香りが弱い・嫌な酸味・えぐみ | 最初はおいしかった | 保存中の劣化 | 戻りにくい | 保存容器 |

燻し臭い:まず排煙を見直す
焙煎家のあいだでは、排煙が足りないと煙が豆にまとわりつき、燻されたようなにおいになると言われています。
1ハゼの終わりごろから蓋を開け閉めする理由
手鍋は蓋で温度を保ちやすく、再現性が上がるのが長所です。そのうえで私は、1ハゼが終わるあたりから蓋を開け閉めしています。閉めたままだと温度が高すぎて焙煎が早く進みすぎますし、燻されたような香りがつくこともあるようなので、ほどよく煙を逃がしています。
開ける頻度は、鍋を2〜3回振ったら一度、くらいです。温度が下がりすぎないように、開けている時間はできるだけ短くしています。鍋の中にたまった煙を抜いて、燻されたにおいがつくのを防ぐイメージです。
燻されたような香りは、煙が鍋の中に充満して、そこにとどまることでつくように感じています。いまの対策は、この蓋の開け閉めをきちんと行うことです。
ただ、中深煎りくらいまでなら、そこまでこまめに開けなくてもいいのでは、という印象も持っています。
焙煎中はコンロの換気扇も回しています。煙とチャフの減らし方は自家焙煎のチャフと煙はどう減らす?手鍋・手網でできる工夫と片付け方にまとめています。
酸っぱい・青っぽい:予熱・量・温度ログの順に
予熱と量で仕上がりを安定させる
鍋が十分に熱くなってから焼き始めると、気温などに左右されにくく、仕上がりが安定するとわかりました。
量は、始めたころは100gでした。いまは最大200gまで安定して焼けるようになり、いちばん安定するのは150gです。一般的には、量が多すぎると豆が混ざりにくく、焼きムラが出やすいと言われています。

「焼けているか分からない」を温度ログで減らす
ログを取る前は、豆が焼けているのかどうか、やはり分かりづらかったです。1ハゼの音も、思っていたより小さく感じたことがあります。
いまは手鍋に挿し込めるプローブ付きの温度計をPCにつなぎ、Artisan(焙煎のログを記録する無料のソフト)で温度の変化を見ながら焼いています。そのおかげで、多少は生焼けを避けられるようになりました。
私が使っているのは、MS6514という温度計にK型熱電対(温度を測るセンサー)を挿したものです。Macにはハブを介してUSBでつないでいます。
温度計を選ぶなら、鍋に挿し込めるかと、Artisanが対応している機器かを見ておくとよさそうです。つなげられる機器は限られるので、買う前にArtisanの対応機器を確認しておくと安心です。

苦い・焦げっぽい:火力と冷却
一般的には、火力が強すぎると表面だけ先に焼けて、中まで熱が通りにくくなると言われています。
焼きムラが出て味がおかしいと感じた豆は、刺激のある苦味と、舌に残る渋みのようなものがありました。私はこれを焦げに近いものだと思っています。
見落としやすいのが冷却です。ザルに移したあとも、豆は余熱で焙煎が進みます。私は園芸用の「砂利を大きさで仕分けるザル」に移して、団扇であおいですぐに冷ましています。このザルはチャフを取るのにも便利です。ただ、チャフは火がつきやすいので、コンロの近くで冷ますときは火事に気をつけてください。
手網に替えれば解決する?
手網は屋外で使ったことがあります。網の中に直接火が当たるので、チャフに火がついて1メートル以上舞い上がりました。手鍋に比べて豆も焦げやすく、火力の調整も難しいと感じました。苦味が気になるからといって手網に替えるのは、気軽にはおすすめできません。
薄い・弱い:直す前に1週間待ってみる
焙煎したての豆と、1週間たった豆を比べたことがあります。焼きたては香りが強いのに、抽出が十分できていないのか、さっぱりしていて、どの味も弱く感じました。少し時間をおいた豆のほうが抽出しやすく、しっかり味が出ます。
焙煎直後は炭酸ガスが多く、お湯をはじいて成分が溶け出しにくいと言われています。当店の淹れ方は湯温85℃、粉:湯=1:15、蒸らし30秒〜1分、細口ポット推奨で、焙煎したての豆のときは蒸らしを1分にしています。くわしくは焙煎直後にすぐ淹れるとまずい?ガス抜き(脱気)と味の関係を整理をどうぞ。
嫌な酸味・えぐみ:保存を疑う
保存に失敗した豆は、酸化した酸味とえぐみが出て、かなり味が悪くなりました。香りが弱く、味が薄く、嫌な酸味がある状態です。生焼けの酸っぱさとは、次の2点で見分けるとよさそうです。
- いつからか:焼いた直後からずっと酸っぱいなら生焼け、最初はおいしかったのに日がたってからなら保存を疑う
- 一緒に出る症状:香りが弱くなり、えぐみも出ているなら保存の劣化を疑う
容器は、密閉できて光を通さないものがよく、高温や湿気も避けたほうがよいと言われています。
ちなみに私は、コーヒー用のキャニスターを使っています。遮光のものではなかったと思います。置き場所は屋内ですが、戸棚にしまっているわけではありません。
まとめ:次の焙煎では、症状に合わせて1つだけ変える
一度にいろいろ変えると、何が差につながったのか分からなくなります。
- 燻し臭い → 1ハゼの終わりごろからの蓋の開け閉めと換気扇
- 酸っぱい・青っぽい → 予熱 → 量(私は150g前後)→ 温度ログの順に
- 苦い → 冷却を早める
- 薄い → 焼き方を直す前に1週間待ち、蒸らし1分で飲み直す
1つずつ変えて、焼いた日と味をメモしておくと、原因が見えてくると思います。焙煎の流れをはじめから確認したい方は、自家焙煎コーヒーの始め方:初心者でも失敗しない自家焙煎のステップもあわせてどうぞ。
焼く時間が取れない日や、比べるための基準の味がほしいときは、Snowman Coffee Roasters の自家焙煎豆も試してみてください。最初の1袋には、バランスのとれた「おかえり。」オリジナルブレンドをおすすめしています。ほかの豆はオンラインショップからご覧いただけます。
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