蒸らしで粉が膨らまなくても、まず慌てなくて大丈夫
お湯を少し注いだのに、粉がふくらまない。「失敗したかな?」と不安になりますよね。
先に結論を言うと、膨らみは粉から炭酸ガスが出ている様子です。膨らまないのは淹れ方のせいとは限りません。多くは豆や粉の側の理由で、注ぎ方で膨らみにくくなることもあります。
この記事では、膨らまない原因を4つに分けて整理し、私が家で試したことをもとに見直し方をまとめます。膨らむ仕組みの説明は、堀口俊英『コーヒー抽出の科学』を参考にしています。

膨らむのは炭酸ガスが出ているから
焙煎した豆には炭酸ガス(CO2)が残っていて、お湯が入るとそれが押し出されて粉がふくらみます。
蒸らし(ブルーミング)は、少量のお湯でCO2を出しながら、粉全体をむらなく湿らせる工程です。CO2が多いほど、粉の層は大きく膨らむ傾向があります。つまり膨らみの大きさは「ガスがどれくらい残っているか」の目安で、おいしさの点数ではありません。
膨らまないと、味は悪くなる?
膨らまないこと自体で味が決まるわけではありません。CO2の量の違いが、成分の溶け出し方や風味に影響する可能性はあるとされています。ただ、焙煎後のガスの変化が味にどれだけ影響するかを確かめた研究は、まだ限られています。
なので、膨らみより先に確かめたいのは飲んで味が薄くないかです。
膨らまない原因を切り分ける
原因1:焙煎から時間がたっている
ガスは焙煎後、時間とともに抜けていきます。ただ「焙煎後◯日で膨らまなくなる」という日数を確かめられる資料は、見つけられませんでした。風味は焙煎からの日数だけでなく、保存のしかた・包装・温度や湿度でも変わると考えられています。日数で決めつけないのがよさそうです。
原因2:粉に挽いてから時間がたっている
本で紹介されている研究では、粉にすると表面積が増えるぶん、豆のままより粉のほうが早くCO2が抜けるとされています。挽き置きの粉が膨らみにくいのは、このためと考えられます。
原因3:焙煎度の違い
また、焙煎度が深いほどCO2が多く、粉が膨らみやすいともされています。当てはめると、中煎りの窓辺。は中深煎りの3種より膨らみが控えめでもおかしくありません。ただ、ガスは焙煎からの時間でも変わるので、深煎りならいつも膨らむとは言えません。
私が淹れていて、窓辺。と中深煎りの3種で、膨らみ方に違いを感じるほどの差はなかったように思います。
原因4:お湯が粉全体に届いていない
ガスが残っていても、お湯が届いていない粉は膨らみようがありません。当店は細口ポットをおすすめしています。お湯をまっすぐ落とせるので、粉全体に届けやすくなります。
焙煎したての豆で感じたこと
焙煎したてと1週間ほどたった豆を飲み比べたとき、焙煎したては香りは強いのに、味はさっぱりして全体に弱く感じました。抽出が十分にできていないのかもしれません。ブレンドでも、焙煎してすぐはドリップパックでもハンドドリップでも同じように味が出にくい印象でした。
淹れ方ページでは「泡がたくさん出るときは1分ほど蒸らす」としています。私の場合、それが当てはまるのは焙煎したての豆のときです。少し時間をおいた豆のほうが、しっかり味が出てくれます。
ガス抜きと味の関係は焙煎直後にすぐ淹れるとまずい?ガス抜き(脱気)と味の関係を整理にまとめています。
膨らまないときの見直し方
- 蒸らしは基本の30秒でよい。午後三時。(焙煎から1ヶ月・冷凍していた豆)で蒸らしなし・30秒・60秒を比べたとき、いちばん良かったのは30秒でした。60秒は酸味が飛び出て、なしは冷めると特徴がなくなりました
- お湯が粉全体に届いているか。細口ポットで、乾いた粉が残らないように
- 味が薄いときは、挽き目とお湯の量を見直す
私の場合、粉がまったく膨らまないときでも、焙煎から1ヶ月ほどの豆なら、味にそこまでの違いはなく飲めました。2ヶ月くらいまでなら、多少の劣化はあっても飲めるレベルだと思います。ただ、日数がたつにつれて香りは弱くなっていく気がします。冷凍しておくと劣化が抑えられる気がしますが、きちんと比べたことはありません。
蒸らしの比較はドリップの蒸らし時間は何秒がいい?なし・30秒・60秒を飲み比べてみたに詳しく書いています。
当店がおすすめしている目安は、湯温85℃・粉:湯=1:15(粉10gにお湯150g)・蒸らし30秒〜1分・細口ポットです。
ドリップパックで淹れるとき
ドリップパックは粉の状態なので、原因2から考えると膨らみにくくても不思議ではありません(ここは私の推測です)。
私がドリップパックで「薄い」と感じたのは、新鮮すぎる豆を使ったとき、粗く挽いたとき、お湯を多く注ぎすぎたときでした。
当店の豆で試すなら
当店はご注文をいただいてから焙煎して送ります。届いた豆なら「古くて膨らまない」はひとまず外して考えられるので、それでも膨らまなければ、挽き目と注ぎ方を見直してみてください。
- 窓辺。(エチオピア・中煎り)…朝の光の中で
- 午後三時。(コスタリカ・中深煎り)…午後のひと休みに
- おかえり。(ブレンド・中深煎り)…帰ってきたあとに
- おやすみ前。(コロンビア デカフェ・中深煎り)…カフェインを控えたい夜に
道具をそろえずに試したい方には、4種のドリップパックを1袋ずつ入れた「はじめての方へ|4種お試しセット」(送料込み)もあります。
豆とセットはオンラインショップから、淹れ方の手順は淹れ方ページにまとめています。
参考にした資料
- 堀口俊英『コーヒー抽出の科学』(新星出版社, 2026)p.72〜74、p.137
- p.73 で紹介されている研究:Wang & Lim(2014)、Smrke ほか(2018)、Baggenstoss ほか(2007)。元の論文はいずれも確認できていません(本での紹介として扱っています)
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