本の淹れ方といつもの淹れ方を4種の豆で比べてみた|堀口俊英『コーヒー抽出の科学』を家で試す

コーヒーをいれている様子

※本記事の画像にはAI生成によるものが含まれます。

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目次

同じ豆なのに、淹れ方を変えただけで別のコーヒーになった

自分で焙煎した豆は、いつもの淹れ方でいちばんおいしく出せている。そう思っていました。ところが本に載っていた淹れ方で淹れてみたら、同じ豆から、コクと甘みがずっと強い一杯が出てきました。

きっかけは、SCAJ2026(日本スペシャルティコーヒー協会の展示会)で手に入れた、堀口俊英さんの新しい本『コーヒー抽出の科学』(新星出版社, 2026)です。条件を1つずつ変え、濃さ(Brix)や酸の量を測りながら確かめていく本で、焙煎度ごとの淹れ方も載っています。

この記事では、本の淹れ方の要点と、当店の4種類の豆をいつもの淹れ方と並べて飲み比べた結果をまとめます。

本の淹れ方の要点

本では、焙煎度ごとに淹れ方を分けています。中でも印象に残ったのは次の4つです(ページは本の表記)。

  • 「蒸らし」をしない。はじめにごく少量の湯を点滴のように注ぎ、粉の中にできた濃い液を、あとから注ぐ湯で少しずつ押し出していく(p.136)
  • 粉を膨らませすぎない、ドリッパーのふちに湯をかけない。終わったときに粉の面が平らなら、粉の一部だけが出すぎていない目安になる(p.137、p.140〜141)
  • 焙煎度で時間を変える。粉20gで240mLを、中煎り(ミディアムロースト)は120秒以内、中深煎りの入口(シティロースト)は150秒前後で落とす(p.147、p.151)
  • 湯温は「粉に最初に触れるときの温度」で考える。湯沸かしポット・注ぐポット・粉の上では、温度がそれぞれ違うから(p.84)

シティローストでは、はじめから中盤で成分をしっかり引き出し、苦みや重さが出やすい終盤は出し切らない、と書かれています(p.151)。最初の10秒で約20mL、2投目も20mL、そのあとも20mLずつ区切って、粉をなるべく膨らませずに注いでいきます(p.152〜153)。

なお本には、焙煎度が深いほど粉を増やすほうが風味をはっきり出せる、という考え方も載っています(p.166)。今回は手本どおり、どの豆も粉20gで淹れました。

いつもの淹れ方の蒸らし。粉がふくらんでいる

いつもの淹れ方との違い

いつもの淹れ方は、淹れ方ページで紹介している、かんたんなものです。

比べるところいつもの淹れ方本の淹れ方(今回試したもの)
粉の量20g20g
湯の量300mL(粉:湯=1:15)240mL
湯温85℃90℃(4種とも)
はじめ蒸らし30秒〜1分蒸らさず、点滴のように少しずつ
終わりの目安湯を注ぎ切る中煎り120秒以内/中深煎り150秒前後

中深煎りの「おかえり。」「午後三時。」「おやすみ前。」は本のシティローストの淹れ方で、中煎りの「窓辺。」はミディアムローストの淹れ方を参考にしました。

4種類で飲み比べた結果

4種類とも、本の淹れ方のほうがおいしく感じました。

  • 午後三時。(コスタリカ):香りの立ち方はほぼ同じ。口当たりは少しとろみが出て、コクと甘みはずっと強くなりました。ごくわずかに渋みがあり、苦みは少し多め。それでも、そのわずかな渋みがあることで、かえって味が締まって感じられました
  • おかえり。・おやすみ前。:午後三時。と同じ方向の変化です。口当たりと全体の味わいが上がり、ほんのわずかに渋みが出ました
  • 窓辺。(エチオピア):酸味・甘み・口当たりがはっきり上がり、この豆らしいジューシーな酸味が前に出ました。後半の苦みや渋みをあまり出さないので、軽やかなのにしっかり印象に残る一杯でした

おもしろかったのは、本の淹れ方で淹れた午後三時。にお湯を足すと、いつもの淹れ方に近い味になったことです。湯の量が少ないぶん濃く仕上がった、いつもの淹れ方の「濃縮版」のようにも感じました。

どうして違いが出たのか

本では、粉の中で最初にできる濃い液を押し出していく淹れ方を基本にしています(p.136)。シティローストでは、苦みや重さが出やすい終盤を出し切らないことも大事だとされています(p.151)。

私の感じ方では、湯温がいつもより5℃高く、湯の量も少ないので、成分が早めにしっかり出て、濃くまとまった液体になったのだと思います。中深煎りの3種で出たわずかな渋みは、その濃さとセットで出てきたものかもしれません。ここは、豆ごとにもう少し調整してみるつもりです。

どちらの淹れ方を選ぶか

本の淹れ方は、点滴のように少しずつ注ぐために、湯をまっすぐ落とせる細口ポットと、湯の量を細かく調整する慣れが要ります(p.137)。毎朝の一杯としては、少し手間がかかります。

なので、ふだんの一杯は、いつもの淹れ方(85℃・1:15・蒸らし30秒〜1分)で十分おいしく楽しめます。時間のある日に「もう一歩」と思ったら、本の淹れ方を試してみてください。同じ豆から、コクと甘みの強い、ちがう表情の一杯が出てきます。

本には、今回試した2つの焙煎度のほかにも、浅煎りや深煎りの淹れ方、湯温や挽き目を変えた実験が、数値と一緒に載っています。淹れ方を見直したい方は、ぜひ本そのものを手に取ってみてください。

今回飲み比べた豆

いつもの淹れ方は淹れ方ページにまとめています。

参考にした資料

  • 堀口俊英『コーヒー抽出の科学』(新星出版社, 2026)p.84、p.136〜141、p.147、p.150〜153、p.166
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この記事を書いた人

缶コーヒーから始まって、今では焙煎まで手を出している。
飲むたびに気になることが増え、それを整理するように発信中。

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