「浅煎りと深煎り、カフェインが多いのはどっち?」と聞かれたら、多くの人は「深煎りでしょ」と答えるのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、一般的な淹れ方(重量で計量)では、浅煎りも深煎りもカフェイン量にほとんど差はありません。
実は「深煎り=カフェインが多い」も「浅煎り=カフェインが多い」も、条件によっては間違いになります。
ただし、計量スプーンで量る場合は話が変わります。
この違いを知らないと、自分の目的に合わないコーヒーを選んでしまうこともあります。
この「どちらとも言えない理由」を、科学的な根拠をもとに順を追って説明します。
カフェイン量の違いも気になるポイントですが、まずは基本的なコーヒーの淹れ方や道具選びを理解しておくことが大切です。
これから始める方は、こちらの記事を参考にしてみてください。

なぜこのテーマを調べようと思ったのか
コーヒー業界では、焙煎度とカフェイン量の関係について、さまざまな言説が存在しています。
- 「浅煎りの方がカフェインが多い」という意見
- 「コーヒーが苦いのはカフェインが多いから、深煎りの方がカフェインは多い」という意見
- 「焙煎により変わらない」という意見
このように、専門家や愛好家の間でも見解が分かれているのが現状です。そこで、科学的な文献を調査し、正確な情報をお届けしようと思いました。
焙煎によるカフェインの変化:科学的な事実
カフェインは焙煎により減少する
研究によると、カフェインは高熱に弱く、焙煎時に昇華(気体になって消失)します。つまり、焙煎時間が長い深煎り豆は、浅煎り豆よりもカフェインが減少しているのです。
この事実だけを見ると、「浅煎りの方がカフェインが多い」という結論になりそうですが、話はそう単純ではありません。
質量と体積の変化が鍵
焙煎が進むと、カフェインだけでなく水分も蒸発します。その結果、以下のような変化が起こります。
- 体積が増加する:豆が膨らむため、同じ量でも見た目が大きくなります
- 重量が減少する:水分の蒸発により、豆1粒あたりの重さが軽くなります
この変化が、カフェイン量の測定結果に大きく影響します。
測定方法による見え方の違い
カフェイン量を測る方法には、主に2つあります。
1. 体積(計量スプーン)で測った場合
計量スプーン1杯分のコーヒー豆を比較すると:
- 深煎り豆は体積が大きく膨らんでいるため、粒数が少ない
- 結果として、浅煎り>深煎りのカフェイン量になります
2. 重量(スケール)で測った場合
同じ重量(例:10g)のコーヒー豆を比較すると:
- 深煎り豆は1粒が軽いため、多くの粒数が必要
- 粒数が多い分、カフェインの総量も増える
- 結果として、浅煎り≒深煎りのカフェイン量になります
つまり、コーヒー1杯に含まれるカフェイン量は、深煎りも浅煎りもあまり変わらないということです。
カフェインと苦味の関係
「深煎りは苦いから、カフェインが多いはず」と思う方も多いでしょう。しかし、これは誤解です。
研究によると、カフェイン添加がコーヒーの苦味の強さ自体に与える影響は少ないことが判明しています。苦味の持続時間には影響を与えるものの、苦味の強さそのものは他の成分によるものです。
深煎りコーヒーの苦味は、以下の成分によってもたらされます。
- クロロゲン酸ラクトン類
- ビニルカテコールオリゴマー
- フルフリルカテコール類
- ジケトピペラジン類
これらは焙煎過程で生成される成分であり、カフェインとは別物なのです。
結論:焙煎度によるカフェイン量の違い
調査結果をまとめると、以下のようになります。
- 焙煎が進むとカフェインは減少する(昇華により)
- 同時に豆の体積は増加し、重量は減少する
- 一般的なコーヒーの淹れ方(重量基準)では、カフェイン量にほとんど差がない
- コーヒーの苦味とカフェイン量は直接関係しない
つまり、「焙煎度によってカフェイン量は大きく変わらない」というのが、最も正確な答えと言えます。
まとめ
焙煎度とカフェイン量の関係は、単純ではありません。科学的には焙煎によってカフェインは減少しますが、実際にコーヒーを淹れる際の測定方法(重量基準)を考慮すると、カフェイン量にはほとんど差が出ないのです。
カフェインの摂取量を気にする方は、焙煎度よりも、コーヒーの量や濃さに注目するのが良いでしょう。
今回の調査が、コーヒーをより深く楽しむための一助となれば幸いです。
カフェインの量を安定させるには、毎回同じ量の豆を正確に使うことが大切です。
実はこの「量のブレ」は、ミルの性能や使い方によっても大きく変わります。
ミルを見直すだけで、味もカフェイン量も安定することがあります。


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